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国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所

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BRIDGE金融包摂

ご挨拶:プログラムディレクター 駒村 康平

安心できる長寿社会の実現

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 現在、わが国は、4割近い人が90歳まで生きる長寿社会を迎えています。高齢者が健やかに長寿を享受できることは、人類の進歩の大きな成果です。

 しかしその一方で、長寿化は、加齢に伴う心身機能の変化と向き合う社会的課題をもたらしています。特に認知機能の低下は、医療や介護の問題にとどまらず、買い物、契約、金融取引、資産運用など、日常の経済活動にも大きな影響を及ぼします。

 本研究課題では、認知機能が低下しても、高齢者が安心して経済活動を行い、自立した生活を継続できる社会システムの構築を目指します。

本施策の背景、目的、そして今後の展開

 現在、わが国は、人口の4割近くが90歳まで生きる長寿社会を迎えています。高齢者が健やかに長寿を享受できることは、医療、福祉、生活環境の改善をはじめとする人類の進歩の大きな成果です。しかしその一方で、長寿化は、加齢に伴う心身機能の変化とどのように向き合うかという、新たな社会的課題をもたらしています。

 とりわけ重要なのが、加齢に伴う認知機能の低下です。認知機能の変化は、医療や介護の問題にとどまらず、日常生活のさまざまな場面に影響を及ぼします。買い物、契約、預貯金の管理、資産管理・運用、保険金の請求など、高齢期の経済活動はいずれも、一定の判断力や理解力を必要とします。認知機能が低下した場合、こうした活動を本人だけで安全に継続することが難しくなることがあります。

 ここで重要なのは、認知機能の低下を理由として、高齢者を一律に経済活動から排除することではありません。現在の認知症観では、本人の意思を尊重しつつ、必要な場面で適切な支援が届く仕組み、本人中心の仕組みを整えることです。高齢者が可能な限り自立した生活を続け、安心して経済活動に参加できる社会システム、すなわち金融包摂を確立することが、BRIDGE「認知機能が低下しても生涯にわたって自立的な経済活動ができる包摂的な地域社会及び社会経済システム構築」(以下、「BRIDGE金融包摂」)の基本的な目標です。

 BRIDGE金融包摂では、認知機能が低下しても安心して経済活動を行える社会の実現に向けて、金融、福祉、医療、自治体、民間事業者が連携する仕組みに取り組みます。具体的には、高齢者の認知機能や生活状況の変化を早期に把握し、必要に応じて相談、見守り、手続支援、金融サービス、福祉サービスへとつなげる方法を検討してまいります。

 また、AIやデジタル技術の活用も重要な柱となります。AIは、高齢者を画一的に判定するためのものではなく、本人の理解や意思決定を支援し、金融機関や支援者がより適切に対応するための補助的な道具として位置づける必要があります。そのためには、技術の有効性だけでなく、ELSI(Ethical, Legal and Social Issues)すなわち倫理面、法制度面、個人情報保護、説明責任、公平性といった課題にも十分に配慮しなければなりません。

 またBRIDGEの意義は、研究成果を単なる学術的知見にとどめず、社会実装へとつなげる点にあります。高齢者の経済活動を支える仕組みは、金融機関だけではなく、福祉、医療、地域社会、自治体、家族、民間サービスが連携して初めて機能します。BRIDGE金融包摂では、これらの主体がどのように役割を分担・連携していくのか、どのような情報共有や支援体制を構築すべきかを、実証的・制度的に検討していきます。

 今後、わが国では高齢単身世帯の増加、認知症および軽度認知障害の増加、金融資産の高齢者への集中が同時に進んでいきます。これは、個人の生活上の問題であると同時に、地域社会、金融システム、社会保障制度全体に関わる重要な政策課題です。高齢者が安心してお金を使い、管理し、必要なサービスを受けられる環境を整えることは、長寿社会の持続可能性を高めるうえで不可欠です。

 関係する皆さまとの連携を通じて、認知機能が低下しても尊厳を保ち、安心して経済活動を継続できる社会の実現を目指してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

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プログラムディレクター プロフィール

駒村 康平(こまむら こうへい)

  • 慶應義塾大学 経済学部 教授
  • 慶應義塾大学経済学部附属経済研究所ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター センター長
  • 全国社会福祉協議会 理事
  • 放送大学 教授
  • 博士 経済学
  • 最終学歴 慶應義塾大学大学院博士課程修了
  • 著書 「日本の年金」(岩波書店)、「社会政策」(有斐閣)、「エッセンシャル金融ジェロントロジー」(慶応義塾大学出版会)、「社会のしんがり」(新泉社)、「みんなの金融」(新泉社)、「環境・福祉政策が生み出す新しい経済」(岩波書店)など

<主な公職>

  • 2009年~2012年 厚生労働省顧問
  • 2010年~2020年 社会保障審議会委員
  • 2012年~2013年 社会保障制度改革国民会議委員
  • 2018年~2020年 金融庁金融審議会市場ワーキンググループ委員
  • 2020年~2025年 社会保障審議会臨時委員等(人口部会、年金部会、年金数理部会、生活困窮者自立支援及び生活保護部会)
  • 2026年~ 社会保障審議会委員(障害者部会長、年金部会、年金数理部会)、こども家庭審議会基本政策部会、内閣府孤独・孤立対策の在り方に関する有識者、東京都社会福祉審議会等

<学会>

  • 日本経済政策学会会長
  • 金融ジェロントロジー学会会長
  • 生活経済学会副会長
  • 介護経営学会理事
  • 日本財政学会
  • 医療経済学会
  • 社会政策学会

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