国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 | 国立健康・栄養研究所 | 産官学連携研究センター |災害栄養情報研究室
避難生活を少しでも元気に過ごすために
栄養・食生活 
食事はとれていますか
不安で食欲がない、飲食物が十分に届かないなど困難な状況が多いですが、まずはできるだけ食べて、身体にエネルギーをいれましょう。
- エネルギーは、寒さに対抗し、体力や健康の維持のために大切です。
- 食欲がない時には、エネルギーのある飲料や汁物、甘い食物を食べることから試してみましょう。
- 支援物資では、食物の種類が限られるので、ビタミンやミネラル、食物繊維が不足しがちです。野菜や果物のジュース、栄養を強化した食品などが手にはいったら、積極的にとりましょう。
- 食欲がない、かたい物が食べにくいなど、お困りの点がありましたら、医療・食事担当スタッフにご相談ください。
食べる時に
- できるだけ直接さわらずに、袋(包装物)ごと持って食べるようにしましょう。
- 配られた飲食物は早めに食べましょう。
水分をとりましょう
飲料水やトイレが限られており、水分をとることを控えがちです。飲み物がある場合には、我慢せずに、十分に飲んでください。水分が不足すると下記のような症状がおこりやすくなります。
- 脱水
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- エコノミークラス症候群
- 低体温
- 便秘
身体を動かしましょう
復興の作業のために、身体を動かしている方もいらっしゃいますが、避難所の限られた空間では身体を動かす量が減りがちです。健康・体力の維持、気分転換のために、身体を動かしましょう。
- 脚の運動(脚や足の指を動かす、かかとを上下に動かす)
- 室内や外で歩く
- 軽い体操 など
衛生管理 
避難所では同じ空間に多くの人が集まって生活しているため、食中毒などへの注意が必要です。また、風邪やインフルエンザなどの感染も広がりやすくなっています。
感染予防には手洗いが基本。少しでもできることから心がけましょう。
食中毒に気をつけましょう
- 流水が使えるときは、調理の前、食事の前に流水と石鹸で手を洗いましょう。
(断水しているときは、避難所の手指用アルコール剤または、ウェットティッシュを使いましょう) - 缶詰などの加工食品は開封したら 早めに食べましょう。
食事担当のスタッフの方へ
- 作業前に手洗いをしましょう。
- 消費期限を確認しましょう。
- 食料品は冷暗所で保管しましょう。
- 下痢をしている場合、吐き気がある場合は、食事の担当はやめましょう。
調理をするときには…
- おにぎりは、ラップで握りましょう。
- 調理用ボウルやお皿等はラップを敷くなど、できるだけ汚さないようにしましょう。
- 加熱が必要な食品は中までしっかり熱を通しましょう。
- 使った調理器具等はできるだけ洗浄し、清潔に保ちましょう。
病気の感染を予防するには
1.手洗い
- 流水が使えるときは、 こまめに流水と石鹸で手を洗いましょう。
- 断水しているときは、手指用アルコール剤(特に、トイレ後、食前)を使いましょう。
2.うがい
- 流水またはペットボトルや給水車の水が使えるときはこまめにうがいをしましょう。
3.マスクの着用
- マスクが足りない場合は、風邪の症状が出ている人にマスクをしてもらうことを優先しましょう。
下痢や風邪にかかった時の栄養管理
1.脱水予防のために、こまめに 水分をとりましょう。
【例】水、お茶、果実ジュース、スポーツ飲料
2.消化がよく軟らかい食事を とりましょう。
【例】レトルトおかゆ、缶詰(煮物)
3.ビタミン・ミネラル類を積極的に とりましょう。
【例】野菜、果物、野菜・果実ジュース
赤ちゃん、妊婦・授乳婦の方へ 
ママ 肩の力をぬいて
困ったことは、医療・食事担当スタッフに相談しましょう。
とれるときに水分を
飲み物が十分なかったり、トイレに行く回数を減らすため、水分を控えがち・・
妊婦さんとおなかの赤ちゃんの健康、ママと赤ちゃんの健康や母乳のためにも、飲み物がある場合には、積極的に水分をとることが大切です!
食べられるチャンスに少しずつでも
食事の回数や、一回当たりの食事量が限られてしまいます。食欲がないこともあるでしょう。
食べられる時に、食べられる量から。
食べ物の種類が増えてきたらビタミンを
食べ物の種類が増えてきたら、おにぎりやパン以外に、野菜、果物、果実ジュースや、栄養を強化した食品などをとり、ビタミンを補給しましょう。
赤ちゃんはママのお乳を吸うと安心します
一時的に母乳が出なくても、赤ちゃんはママのお乳を吸っているだけで、安心します。また、吸わせ続けることで、また出てくるようにもなります。
赤ちゃんやママはできる範囲であたたかく
毛布を巻いたり、抱っこしてあたためましょう。ママの抱っこで、赤ちゃんは安心します。
妊婦さんは、重ね着や毛布などで自分自身を巻いて温めることで、おなかの赤ちゃんと自分の体調を整えることにつながります。
大事なことはママと赤ちゃんが疲れすぎないことです
赤ちゃんが元気で、いつものようにおしっことウンチが出ていれば母乳は足りています。
*気になる場合は管理栄養士や助産師等の専門職にミルクが必要かどうか相談しましょう。

液体ミルク |
![]() よく振ってから、飲ませてください。飲み残しは捨てましょう。 人工乳首がついていないタイプは、清潔な紙コップ等で与えると便利です。 室温(25℃以下)で保存してくださいね。 |
詳しくは「専門家向け解説資料」または 「赤ちゃん防災プロジェクト 災害時における乳幼児の栄養支援の手引き」をご参照ください |
離乳食はこんな方法でも
避難所では赤ちゃんのご飯も心配ですよね。

5-6カ月の赤ちゃんなら、母乳やミルクで代用を。
7-11カ月の赤ちゃんなら、スプーンでつぶしたり、お湯を加えて、おかゆ状に。
12カ月以降の赤ちゃんなら、炊き出しのご飯に味噌汁を入れて「かんたんおじや」を作ったり、よく煮た大根や芋なら大丈夫。
- 生モノと、十分に火が通っていない食べ物は、絶対あげないでくださいね。
- 塩分はなるべく控えめに。
- 食器やスプーンは清潔に。
アレルギーがあるお子さんに
炊き出しに含まれる和風だし(さば、えび等)やコンソメ・スープ類(卵・牛乳等)、味噌・醤油・バター(大豆)などの調味料にアレルギーを起こす成分が入っていることがあります。 医療スタッフにご相談ください。
高齢の方、慢性疾患をお持ちの方へ 
ついつい、お子さんやお孫さんに配慮して、食事を遠慮してしまうかもしれません。でも、あなたが元気でいることが、ご家族や周りの方の元気につながります。
水分をしっかりとりましょう
避難生活では、飲料水の不足や、トイレの数の不足のために、水分摂取を控えがちです。食事の量が減ると、水分の摂取量も少なくなりがちです。
水分が不足すると、疲れやすい、頭痛、便秘、食欲の低下、体温の低下などがおきやすくなります。血流を良くする、血圧や血糖をコントロールするためには、水分をしっかりとることが大切です。
しっかり食べましょう
食べ物が限られていることや慣れない環境などのために食欲が低下しがちです。体温や身体の筋肉を維持するためにも、出された食事はしっかり食べましょう。
ゼリー飲料や栄養素を強化した食品等が届いたら、積極的に食べましょう。 ご飯類は、袋にいれてお湯につけて温める、汁にいれて雑炊のようにする、パン類は牛乳やジュースに浸すと食べやすくなります。
飲みこみにくい方へ
日頃から飲みこみにくいと感じる方、食事や飲み物を飲んだ時にむせる方は、次のような工夫をしてみましょう。
- 食事をする時には、横になったままでなく、座って食べるか、少し身体を起こして食事をしましょう。
- 食事の前に少量の水で口を湿らせましょう。
- 食品と水分を交互にとりましょう。
- 袋に入っている状態の時に、つぶしたり、ちぎったりして、食べやすい大きさにしましょう。
身体を動かしましょう
避難所生活では、身体を動かす量が減りがちです。食べることだけでなく、身体を動かすことも考えましょう。
- 脚や足の指を動かす。
- かかとを上下に動かす。
- 室内や外を少し歩く。
- 軽い体操
高血圧、糖尿病などで普段から食事療法をしている方は、早めに避難所のスタッフや医療・食事担当スタッフにお知らせください。
また、食べ物が飲みこみにくい方、義歯の状態が悪い方もご相談ください。
血圧が高めの方へ |
寒さや、睡眠不足、不安感などでも血圧は高くなります。 非常に難しいとは思いますが、できるだけ睡眠をとり、リラックスを心がけましょう。血圧のコントロールのためには、以下のようなことも大切です。 |
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血糖値が高めの方へ |
普段は、上手にコントロールできている方でも、今は難しいかもしれません。血糖値の急な上昇や低血糖を予防するためには、以下の点に気をつけましょう。 |
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