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避難所ではどのような人が、食事に困っていたのか?
災害時要配慮者(いわゆる災害弱者)とは、災害時に被害を受けやすく、避難生活に支援を必要とする人々のことをいいます。 栄養支援が必要な要配慮者が、東日本大震災の避難所にどのくらいいたのか、どのような人が食事に困っていたのかを明らかにするため、東日本大震災から約1か月後の避難所を調査しました。 調査をした避難所は、宮城県A市内に開設されていた全避難所、81施設でした(回答率100%)。
結果 有効回答を得た避難所69施設のうち、24施設(34.8%)で、栄養の支援が必要な要配慮者がいました。 具体的には「ミルク・離乳食が必要な乳児」が最も多く、次に、「高齢・障害等で普通の食事が食べられない者」が多くいました。また、「食物アレルギー患者」「褥そう」 「病気による食事制限が必要な病者(腎臓病、糖尿病、高血圧など)」等も困っている事がわかりました。
この研究から考えられること 東日本大震災では、3割以上の避難所に、なんらかの栄養支援が必要な被災者がいたことがわかりました。避難所全体の食事を改善するだけでなく、普通の食事が食べられない避難者への早急な対策も必要となります。
本研究の論文
Nobuyo Tsuboyama-Kasaoka, Yuko Hoshi, Kazue Onodera, Shoichi Mizuno, Kazuko Sako. What factors were important for dietary improvement in emergency shelters after the Great East Japan Earthquake? Asia Pac J Clin Nutr 2014;23(1):159-166.