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避難所では、どのような食品が不足し、どのような食品が過剰になるのか?
概要 避難所における食料の過不足について明らかにするため、東日本大震災から約1か月後の避難所を調査しました。調査をした避難所は、宮城県A市内に開設されていた全避難所、81施設でした(回答率100%)。
結果 有効回答を得た避難所67施設のうち、何らかの食品が不足していた避難所は53施設(79.1%)でした。一方で、何らかの食品が過剰であった避難所は24施設(35.8%)でした。不足していた食品は「牛乳・乳製品」、「肉」、「野菜」の回答が多く、さらに、豆類、魚介類、調味料・香辛料、卵、果物の順でした。 興味深かったのは、調味料・香辛料としてケチャップ、マヨネーズ、コンソメ、ソース、こしょう等の味の変化がつけられる品の不足が挙げられたことでした。 一方、過剰な食品は「穀類(おにぎり、菓子パン、インスタント麺)」の回答が多い結果でした。
この研究から考えられること 東日本大震災から約1か月が経過しても、約8割の避難所で何らかの食品が不足していました。一方で、菓子パンなどの炭水化物は過剰になっており、避難所では偏った食事が提供されていたことがわかりました。栄養不足や欠乏症がおこらないようにするために、早めの対策が必要です。
本研究の論文
Nobuyo Tsuboyama-Kasaoka, Yuko Hoshi, Kazue Onodera, Shoichi Mizuno, Kazuko Sako. What factors were important for dietary improvement in emergency shelters after the Great East Japan Earthquake? Asia Pac J Clin Nutr 2014;23(1):159-166.