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東日本大震災に被災地派遣された管理栄養士・栄養士の支援活動にはどのような有効点と課題があったのか?
被災地へ管理栄養士等を派遣する際に、有効な活動のあり方を検討するため、派遣栄養士を 受け入れる被災地側が感じたことについて調べました。
研究方法 東日本大震災被災3県(岩手・宮城・福島)の栄養士会会員1,911名を調査対象とし、派遣栄養士と一緒に活動した69名のうち「派遣された管理栄養士・栄養士と活動して有効だったこと、困ったこと」欄の記入者58名を解析対象としました。自由記載をKJ法により解析し、有効点と問題点を抽出しました。
結果 有効点として、被災地においても栄養士の「知識・スキルが役立つ」こと、専門職の人的支援は被災地の「心の支え」となることが明らかとなりました。一方、問題点として、派遣者の「スキル不足」、「状況把握不足」や「ニーズとのずれ」、受け入れ側の「準備不足」、派遣体制として「活動期間が短く引継ぎが不十分」であったこと等が明らかとなりました。また、有効点にも問題点にも「熱意」が抽出され、励みにもなり、負担にもなり得ることが明らかとなりました。
この研究から考えられること 派遣される側および受け入れ側双方の平常時からの準備が重要であり、それによって派遣栄養士は被災地ニーズに沿った有効な支援が実施できることが示されました。
本研究の論文
笠岡(坪山)宜代、廣野りえ、高田和子、瀧沢あす香、須藤紀子、下浦佳之、迫和子. 東日本大震災において被災地派遣された管理栄養士・栄養士の支援活動における有効点と課題~被災地側の管理栄養士・栄養士の視点から~. 日本災害食学会誌. 2016;3(1):19-24.