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イタリアの避難所では、どのような生活支援・食事支援があるのか? ~キッチンカー、食堂、トイレ、シャワー、ベッド、テントのパッケージ支援~
イタリアは欧州の中では自然災害が多く、避難者の生活を重視した支援が行われています。避難所での生活支援や食事支援について、 イタリアの地方自治体やボランティア団体における取り組み事例を収集し、日本での災害支援に役立てる情報をお伝えします。
イタリアの自治体(エミリア・ロマーニャ州モデナ県およびカベッツオ市)、ボランティア団体(アンパス協会、アルピーニ協会)の災害時支援活動と備蓄状況を視察した際に得た情報です。
イタリアでは全ての組織でキッチンカー、食堂、トイレ、シャワー、ベッド、テントが備蓄されており、発災後短時間でパッケージとして被災地に届けられ避難所を設営する仕組みが出来ていました。 これらの設備は公費で購入され、各地域のボランティアらによって管理・運用されていました。 プライバシーに配慮され、日常の生活に近い環境が整備されていました。キッチンカーは様々なタイプがありましたが、 各避難所に 1台以上配備され、現地で調理を行う点は全ての組織で共通していました。調理はコックまたは調理トレーニングを受けたボランティアが担当し、温かいトマトソースパスタを初日から提供している点も3組織で共通していました。一方で、3 組織全てにおいて食料は備蓄していませんでした。
この研究から考えられること イタリアではハード面ばかりではなく避難者が通常の生活を送るため、ヒトに主眼を置いたソフト面の人道支援が定着していました。災害支援は平時のボランティア活動の延長線上に位置していました。
本研究の論文
笠岡(坪山)宜代. イタリアの避難所における生活支援・食事支援の事例~キッチンカー、食堂、トイレ、シャワー、ベッド、テントのパッケージ支援~. 日本災害食学会誌. 2020;7(1):15-26.