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被災地の栄養士が欲しかった支援は、何だったのか?
東日本大震災では、全国規模で初めて、(公社)日本栄養士会から全国の管理栄養士・栄養士(以下、栄養士ら)が被災地に支援に行きました。栄養士らが被災地に支援に行くことで、避難所の食事が良くなることが、これまでの研究で明らかになっています。一方で、彼らの支援活動は、被災地のニーズと一致しないことも分かってきました。 そこで、本研究では、被災地の栄養士が必要としていた支援は何だったのか?を明らかにしました。
研究方法 2012年8~10月に、岩手・宮城・福島の被災3県の栄養士会会員1,911名を対象に質問紙調査を行いました (回収率22.8%(n=435))。調査票の質問項目のうち「被災時に欲しかった支援について、ご自由にご記入ください。」という自由記載回答について、質的記述分析を行いました(n=332)。
結果 被災地の栄養士らが必要としていた支援は、「物資」「事前の仕組みづくり」「情報」「人的資源」の4つがメインカテゴリとして分類されました。「物資」には11個のカテゴリが含まれており、「食料」「ガソリン」「特殊栄養食品」「水」が半分以上を占めていました。また、図に示した通り、「事前の仕組みづくり」を構成するカテゴリは9つ、「情報」は3つ、「人的資源」は4つでした。
この研究から考えられること 「物資」「情報」「人的資源」の支援をスムーズに行うための「事前の仕組みづくり」を行うことが重要であることが示されました。
本研究の論文
Moeka Harada , Kazuko Ishikawa-Takata and Nobuyo Tsuboyama-Kasaoka.Analysis of Necessary Support in the 2011 Great East Japan Earthquake Disaster Area. Int J Environ Res Public Health. 2020;17(10):3475. doi:10.3390/ijerph17103475