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良い健康習慣が多い人ほど、食料備蓄をしている
概要 日本では、全国各地で数多くの自然災害を経験しています。それにもかかわらず、約半数の家庭で食料備蓄を行っていません(2019年国民健康・栄養調査)。本研究は、食料備蓄をしている人のパーソナルファクターを明らかにすることを目的として、食料備蓄と健康習慣との関連を分析しました。
研究方法 南海トラフ巨大地震での食料不足リスクが高い上位5県(高知、徳島、和歌山、愛媛、三重)に在住するネットリサーチモニターのうち、家庭内で主に食事を準備している成人男女1200名を対象に、オンライン調査(調査期間:2019年12月18~20日)を行いました。健康習慣は、Breslowの7つの健康習慣を尺度とし、習慣があると回答したものをカウントして、0~7点でスコアを算出しました。
結果 健康習慣スコアの分布は、低スコア(0-3点) が59.1%、中スコア(4-5点)が32.9%、高スコア(6-7点)が8.0%でした。多重ロジスティック回帰分析の結果、健康習慣スコアが高いほど、食料備蓄ありのオッズ比が有意に高く(p for trend < 0.001)、最も食料備蓄に関連のあった健康習慣は朝食を食べる習慣でした。さらに、健康習慣スコアが低いことと、食料備蓄の中断が有意に関連していました。
この研究から考えられること 良い健康習慣を多く持つことと、食料備蓄を持つことには有意な関連がありました。特に健康習慣が少ない人は、食料備蓄を中断することに有意に関連していました。健康習慣を増やすことで、食料備蓄を促進できる可能性が考えられます。
本研究の論文
Moeka Harada, Rie Kobayashi, Jun Oka and Nobuyo Tsuboyama-Kasaoka. Association between Health Practice and Food Stockpiling for Disaster. Nutrients. 2021;13(5):1414. doi:10.3390/nu13051414