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災害時の栄養・食生活支援に関するマニュアル43本の調査と今後の課題
概要 自然災害が多い日本では、災害が起こるたびに栄養・食生活支援が見直され、災害時のガイドラインやマニュアル、支援ツール等が整備されてきました。 とくに2011年3月の東日本大震災の発生以降、厚生労働省をはじめ各省庁や自治体、学会等から、数多くのマニュアルが公表されています。 しかし、その種類や数が多く、なかなか必要な情報に速やかにたどり着けないのが現状です。そこで、これらのマニュアルを調査・整理し、短時間で欲しい情報にたどりつくための一助としました。
結果 43本のマニュアルから「備蓄関連」「避難所関連」「炊き出し関連」「災害時全般」「赤ちゃん、子ども関連」「アレルギー関連」「高齢者、持病関連」の7つのカテゴリーに分類し、一覧表を作成しました。 各マニュアルでは重複内容が多く、すべてのマニュアルが2011年4月以降の作成で、そのほとんどが更新や改定はされていませんでした。 さらにフェーズによる分類(0:平時・発災前、1:発災後72時間以内、2:応急対策期・生活安定期〈避難所〉、3:復旧・復興対策期〈仮説住宅〉)では1と2がとくに多いことがわかりました。
この研究から考えられること
今後はマニュアルを作成するだけでなく、時代と現状に即した内容の更新、さらに記載方法の標準化や速やかに必要な情報にたどり着くための仕組みづくりが必要と考えます。そして多くの人たちが活用できるように、認知度の向上を進めることも重要です。
本研究の論文
野口律奈、笠岡(坪山)宜代、関本(孫田)みなみ、入夏みなみ、須藤紀子. 災害時の栄養・食生活支援に関するガイドライン、マニュアル、ツールに関する質的調査. 日本災害食学会誌 2022;9(1):1-8.