消費者の皆様へ
私たちが目指していること
日本版栄養プロファイリングモデルが目指すのは、毎日の食事の中で「自然に健康になれる」ような食環境の実現です。
すでに日本では、諸外国と同様に、食品にどんな栄養成分が含まれているかを示す「栄養成分表示制度」が整えられていますが、海外では、栄養成分表示に加えて、食品の健康度を評価し、わかりやすく区分したり、ランク付けしたりする「栄養プロファイリングモデル(NPM)」という仕組みが広がっています。
■健康的な食選択を、もっと「簡単に」「当たり前に」
世界ではすでに、栄養プロファイリングモデルを用いた包装前面栄養表示が活用されています。栄養プロファイリングモデルによる評価結果は、食品パッケージの前面に分かりやすく表示され、消費者の皆様が買い物をする際に、専門的な知識がなくても「一目で」「直感的に」健康的な商品を選べるガイドとして役立っています。
例えば、フランスのNutri-Score(ニュートリスコア)は、食品の栄養価をAからEの5段階のランクと色で示します。オーストラリア・ニュージーランドのHealth Star Rating(ヘルス・スター・レーティング)は、星の数で栄養価を評価します。
しかし、これらのモデルの多くは欧米の食文化や健康課題を前提につくられています。そのため、日本人の食習慣や栄養上の課題には十分に合わない部分がありました。
■日本の食文化と特有の課題
日本の食には、次のような特徴があります。
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「食塩の取りすぎ」が課題
高血圧の最大の原因となる食塩(ナトリウム)の過剰摂取は、日本人の深刻な食生活の課題です。食塩の多くは、しょうゆやみそといった調味料から摂取されています。さらに、野菜の漬物や魚の塩辛といった伝統食品にも保存のために多くの食塩が使われています。 -
「料理」が中心の食文化
日本の食事は、多様な食材と調味料を組み合わせてつくる「料理」が中心です。加工食品に含まれる栄養成分やそのバランスをより良いものにすることは大切ですが、それだけでは適切な食生活にはつながりません。
こうした特徴のため、従来の栄養プロファイリングモデルでこのような日本の食を正しく評価することは困難でした。
■日本の食品にフィットした「日本版栄養プロファイリングモデル」
そこで、私たちは「日本版栄養プロファイリングモデル」を開発しました。このモデルは、公的研究機関と大学が中心となり、企業の利益に左右されない中立・公正な立場でつくられました。
モデルは2種類あります。
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加工食品版(NPM-PFJ)
日本の食文化に合わせた独自の基準で、加工食品の栄養価を総合的に評価します。例えば、食塩が多くなりがちな漬物でも、類似した食品と比べることで、減塩などの工夫が正しく評価に反映される仕組みになっています。 -
料理版(NPM-DJ)
従来のモデルでは評価が難しかった日本の料理を対象に、食材や調味料・調理油をすべて含めて料理全体の栄養価を総合的に評価します。さらに、麺類の汁を残すといった食べ方の工夫まで評価に反映されます。
日本版栄養プロファイリングモデルの役割
日本版栄養プロファイリングモデルが社会に広がることで、まず変わるのは、食品企業における商品づくりの視点です。
このモデルは、企業にとって「より健康的な食品とは何か」を示す明確なものさしとなります。「どうすれば食品に含まれる食塩の量を抑えつつおいしさを保てるか」「どの食材を使えば栄養価がより良くなるか」といった開発目標が具体化し、減塩技術や栄養価向上の努力が正しく評価されるようになると期待されます。
こうした企業の努力が積み重なることで、私たちが普段利用するスーパーやコンビニエンスストアに並ぶ食品そのものが、少しずつ、しかし確実に健康的になっていきます。
つまり、消費者の皆様が何かを我慢したり、特別な意識をしたりしなくても、普段通りに商品を選ぶことで、食生活全体が自然に健康に近づくのです。
それこそが、私たちの目指す毎日の食事の中で「自然に健康になれる」ような食環境です。日本版栄養プロファイリングモデルは、その実現に向けて社会の仕組みを変えるための大切な一歩です。