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ホーム > 医薬基盤研究所(NIBIO)のお知らせ > ヒストンメチル化酵素によるウイルス感染抑制機能を発見 ―インフルエンザウイルス治療薬開発の新しい標的―

医薬基盤研究所(NIBIO)のお知らせ

ヒストンメチル化酵素によるウイルス感染抑制機能を発見 ―インフルエンザウイルス治療薬開発の新しい標的―

2021年6月25日

 この度、弊所 ワクチン・アジュバント研究センター(CVAR) 感染病態制御ワクチンプロジェクトの今井 由美子(いまい ゆみこ)プロジェクトリーダーらの研究グループは、東京工業大学、東京大学、秋田大学等の研究グループと共同で、インフルエンザウイルス感染に伴って、クロマチン※1高次構造が変化し、これがインフルエンザの病態に影響を及ぼすことを発見し、そのメカニズムを解明しました。

 インフルエンザウイルス感染によるヒストンメチル化酵素Suv4-20h2※2の機能低下、あるいは遺伝子欠損状態では、コヒーシン※3が遊離されることにより、特定のゲノム領域(HoxC8-6)においてクロマチンループが形成され、その結果、抗ウイルス免疫応答が抑制され、ウイルスの増殖が亢進し、インフルエンザの病態が増悪することが明らかとなりました。

 本成果により、クロマチンループの形成がウイルス感染症の病態に関わる新しい生命現象の理解と、それに基づいた治療法の開発につながることが期待されます。 

 なお、本研究成果は米国の学術雑誌 『iScience』に6月25日12時(日本時間)にオンライン掲載されましれた。

 詳細は、こちらをご覧ください。

 

※用語解説

※1:クロマチン
 細胞内のゲノムDNAは、ヒストン8量体(コアヒストン)に巻付いてヌクレオソームを形成している。クロマチンは、このヌクレオソームの集合体を指す。クロマチンが凝集するとクロマチン繊維となり、さらに折りたたまれて凝集すると染色体が形成される。

※2:ヒストンメチル化酵素Suv4-20h2
 Suv4-20h2はヒストンタンパク質H4の20番目のリジン残基をトリメチル化してH4K20me3を生成するヒストンメチル化酵素である。同酵素よってH4K20me3が生成されると、HP1と呼ばれるタンパク質が結合し、ヌクレオソームが凝縮し、ヘテロクロマチンの形成が促進されるため、H4K20me3が付加されたゲノム領域では、転写が抑制されることが知られている。Suv4-20h2は、ゲノムの安定性、老化、テロメアの伸長などに関わっていることが報告されている。

※3:コヒーシン
 コヒーシンは、DNA複製後の姉妹染色分体をつなぎ止めるリング状のタンパク質複合体である。さらに最近この機能に加え、同タンパク質のリングの中にDNAを2本取り込むことで、DNA同士を束ねることによって、ループ形成をはじめとしたクロマチンの高次構造の維持に重要な役割を担っていることがわかってきた。

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