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国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所

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MNC-QQ細胞を用いたバージャー病に対する再生医療等製品の研究開発

事業責任者

順天堂大学医学部形成外科学講座 先任准教授 田中 里佳

開発する再生医療等製品の概要:

バージャー病は、未だ原因は不明であり根治的治療法がなく、四肢の虚血が進むと潰瘍化し、最終的に四肢の切断となる。四肢切断の有無は、患者にとって生活困難性、医療費負担の軽減、早期の社会復帰の観点から大きな分岐点である。バージャー病に対して骨髄単核球移植、末梢血CD34陽性細胞移植を用いた血管再生治療が実施され、その有効性が多く報告されているが、治療に必要な細胞数を採取するための侵襲性や採取した細胞の機能低下が問題であり、非侵襲的で簡便な細胞採取法で、より多くの機能的細胞を移植できる血管再生治療が求められてきた。

「無血清生体外培養増幅法(Quality and Quantity Culture: QQ)」は「少量の血液」から「高い血管再生能・組織再生能・抗炎症効果を有する細胞群」を短期間で治療に十分な量を増幅可能な世界初の血液中にある再生細胞培養技術であり、単核球(Mononuclear cell; MNC)を「QQ法」に供して得られるMNC-QQ細胞は、現行の血管再生治療に比べて有意に高い血管再生能を示し、わずか200mlの血液から血管再生治療に十分量かつ高い再生能をもった細胞を1週間で獲得できる。すなわちMNC-QQ細胞を用いた治療法は、外来採血で細胞が採取でき、入院不要、簡便、低コスト、低リスクだけでなく、症状悪化前に自己幹細胞による治療を実現する極めて現実的な治療法である。

現在の開発状況:

MNC-QQ細胞を治療法に用いるため、in vitroにおいて血管形成能、脈管形成能、創傷治癒能など有効性を示す結果を得たのち、動物実験(マウス・ブタ)を用いてin vivoにおける有効性を確認した。さらにMNC-QQ細胞に造腫瘍性がないことをin vitro及びin vivoで確認したのち、2015年度より現在までにバージャー病患者を含む難治性四肢潰瘍患者10例を対象とした第I相試験臨床研究をFirst in human臨床試験として実施し、本細胞治療の単回投与における安全性と有効性が示されている。さらに2018年度より重症下肢虚血潰瘍患者を対象としてMNC-QQ細胞の複数回投与における安全性及び有効性を確認するための臨床研究を開始しており、重症下肢虚血潰瘍患者を対象とした治験開始に向けて2020年度内の治験届提出を目指している。先の臨床研究でバージャー病患者の治療を実施し効果が得られていることから、今後重症下肢虚血潰瘍患者を対象としたPMDAとの治験に関する相談の中でバージャー病に対する治験も併せて実施する可能性を協議する。

実施項目と工程表

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